彼はいつも微笑むのだ
風が吹くと共に
優しく微笑む。
そんな彼に、私はなりたかった。
手を伸ばす後少し手をのばす
掴んだら足を引き上げる
小さな体では届かない場所へと体を
引き上げる
そうしてみる彼の眼からの景色は
らんらんと輝いていた。
太陽が暖かく見守っていて
風はやさしく吹いていた
そんな彼を私は思いっきり抱きしめて
声をあげて笑うのだ
「私、おおきくなったら貴方になるの」
小さな声でそう囁いて
ごろりとそこからすべり落ちる。
どんな意味かもしらずにただただ彼にあこがれていた。
太陽も月も
風も雨も
みんな彼が大好きで
愛しているのを知っていたから
私は少しの嫉妬を抱えてそう言うのだ。
彼になりたい、と
叶わない夢?
そんなの大きくなるにつれて知っていた
私の手は簡単に彼の腕を掴み
登っていく。
あんなに輝いていた世界は
私の眼は濁ったのだと告げるけど
それでも
目を細めてその世界をみた
あぁ。
樹になりたい
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